ビジネスは中国から学びなさい
『アフターデジタル』は必読
- 作者: 藤井保文,尾原和啓
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 2019/03/23
- メディア: 単行本
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最近読んだ本の中で一番重要な一冊です。
あんまり宣伝していないからか注目が弱いですが、これからのビジネスを考えるうえで読んでおいたほうがよいでしょう。
昨年は「GAFA」という言葉が日本で流行しました。
言うまでもなく、Google、Amazon、Facebook、Appleの4社の頭文字です。
ただ、残念ながらアメリカだけが世界ではありません。
最近ようやく報道され始めていますが、中国のテック企業の台頭が著しいのです。
日本では身近ではないと思われがちの中国企業ですが、今や身近なところに中国企業は浸透しています。
TikTokはもちろん、Huaweiのスマホや、Googleマップにこっそりdidi(中国版Uber)が追加されていますし、家電しかり、ゲームアプリしかり、ブランディングを強めています。
かつてサムスンがPRに力を入れすぎて嫌われてしまったことを研究しているかのように、着実にジワジワと広がっているあたり、商売上手な中国といえるでしょう。
中国は下だと思っている日本のオジサンたち
中国は長いこと人口の割に経済が低迷している国でした。
そのイメージが強すぎて、日本のオジサンたちはいまだに中国を下に見ている節があるように思います。
しかし、歴史的に見れば、中国は日本にとって学ぶべき国であったわけです。
中国の進んだ文化や制度を取り入れようとした遣隋使や遣唐使をはじめ、新元号「令和」の出典である万葉集の序文も、中国の文選から来ていると言われています。
つまり、中国から学ぶのは歴史的にみたら当たり前のことなのです。
中国は広い国土を持つため地政学上、歴史的にも内憂外患が長いのですが、政治が安定すれば中国自体が強くなるものです。
今の中国もまさにそうであり、科学技術への集中的投資が功を奏して、アメリカに匹敵するような国力を蓄えようとしています。
少し前までは「パクる」中国と、ディズニーキャラクターのパクリ遊園地が報道されて日本人がバカにしていましたが、今や日本で働く人は中国からパクらなければ競争に勝てないほどに立場が逆転しているのが現実です。
まあ、ほとんどの日本人が気づいていないようですが。
中国ビジネスのキーワード「OMO」とは?
『アフターデジタル』の話に戻れば、「OMO」という言葉がキーワードであることがわかります。
OMOとは「Online Merges with Offline」(オンラインとオフラインの融合)の頭文字です。
詳細は本書をお読みいただければと思うのですが、「デジタル」と「リアル」を分けて考えるのはナンセンスということです。
オンラインが当たり前の世の中なのだから、「デジタル」と「リアル」が一体化しており、顧客は「デジタル」か「リアル」の二分法で考えることはなくなり、そのときにあった最適の選択をするから、ビジネスサイドもそれに応じて事業を展開する必要があるということです。
最近の日本企業でも「デジタル戦略」などといって、ようやく重い腰を上げて、デジタル化を進めていますが、「リアル」ありきの「デジタル化」のきらいがあります。
顧客は「リアル」ありきだとは思っていないのだから、このような認識のままでは、米中のテック企業には到底かなわないということです。
情報は重要だけど情報源に気をつけよう
ネットのインフルエンサーたちがよく言っているとおり、「情報」は重要です。
ただ、ダメダメな日本企業の情報ばかり集めても、絶望することしかありません。
米国企業や中国企業という二大勢力に重きをおいて情報収集や分析をしたほうがよっぽど効率がいいでしょう。
投資でよく使われる用語として、「アービトラージ」という言葉あります。
差を利用して儲ける手段のひとつです。
すなわち、日本であまり理解されていない米中の事情にアンテナを張っておけば、日本では自分の価値を高められるということです。
したがって、英語や中国語を勉強して、米中の情報にアクセスできるリテラシーがあれば、しばらくは重宝されるというわけです。
- 作者: 藤井保文,尾原和啓
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 2019/03/23
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万葉集より英語を勉強しよう
入社式に見る日本の絶望未来
昨日4月1日から新入社員と思われる若者が通勤する姿を目にするようになりました。
男性は青いストライプのネクタイ、女性は就活生御用達のコートを着ているので一目瞭然です。
まあまあ、同じような格好で群れていたり、群れていなくても初日から目が死んでいたりと、日本の将来は暗いですね。
周りがみんな就職しているから、みんなが応募している企業に申し込みをして、受かった企業に行っただけといったところでしょうか。
右肩下がり時代に、オールドな企業が高度経済成長期に蓄えた養分でこれからも生きていこうと思っていたら、いつか会社が潰れて路頭に迷い、年収200万円未満の生活が待っているでしょう。
10年後、20年後には潰れてしまいそうな古い企業には怖くて就職できませんね。
では、どんな企業が良い企業でしょうか?
これから生き残る企業の条件のひとつは、グローバルに稼げるか。
それはつまり、貧乏にならないためには、企業で働く個人こそがグローバルで働けないといけないのです。
万葉集を読むのは時間のムダ
新元号「令和」の出典である『万葉集』の本が売れているそうですね。
定年退職された方々が『万葉集』でも読んでみるかというならいいですが、ビジネスパーソンが『万葉集』を読んでも何の得にもなりません。
英語すらできないのに、のどかに和歌を楽しむのでしょうか。
現実逃避ですか?
そんな時間があるなら、英語をやったほうが100倍メリットがあります。
メリットというか、英語やらないと20年後にはビンボー待ったなしですよ。
英語の前に日本語という人がいますが、英語で万葉集の紹介を外国人にできたほうがよっぽど役に立ちます。
長い目でみたら助けになる?
優先順位としては英語ですよ。
「令和」を英語で語れるか
まず、教養もない素人が『万葉集』を読んでもすぐに役に立ちません。
かりに『万葉集』を読んだとして、それを外国人に紹介できますか?
英字ニュースでどのように「令和」が取り扱われているのかを理解して、それを自分の会話でも使えるようにしたほうが、これからの時代よっぽど役に立ちます。
そのうえで、余裕があったときにでも、『万葉集』をパラパラ読んで、「私はこの歌が好きなんです。この歌の意味は○○ということ。ナイスでしょ」といえれば、なお良いです。
結局、『万葉集』を読むという行為の優先順位は最後なんです。
日本の古典が生きるのは、外国人との会話のとき。
英語ができないと、『万葉集』を読んでも、コミュニケーションに役には立たないのです。
「そもそも自分がよければよいのでは?」とか言っている人がいたら、将来は生活保護の申請をして他人の税金で生きるのだけはやめてもらいたいですね。
確実に、稼ぐ日本人は海外にますます逃げていきますよ。
元号予想はニアピン・・・悔しいです。
こんにちは、岩崎令です。
新しい元号は「令和」になりました。
私の名前が使われて嬉しい限りです!
ちなみに、元号予想は「和永」でした。
一文字だけしか当てられませんでしたが、「安」は様々な事情で採用されないはずだから、「和」しかないという推理は当たりでした。
今年はキャッシュレスと5Gの年になると予想しており、そちらのほうは案の定そういう流れになっています。
令和に入ってからは、ますます時代を読む力を高めていきたいです!
万葉集 ビギナーズ・クラシックス 日本の古典 (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス)
- 作者: 角川書店
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【予想的中】文系最難関は東大法から経済へ
合格最低点と平均点ともに「東大文一<文二」に
東大文系最難関といえば東大文一(法学部)でした。
しかし、今年の結果発表によれば、合格に必要な最低点・平均点ともに文二(経済学部)が文一を上回りました。
ついに、東大法学部の権威は地に落ちたといってよいでしょう。
予想が的中した理由
この結果が出てくるのを私は「【進路】東大から官僚はオワコン - 東大卒の大学受験勉強法ブログ」で予想しており、それが的中したことになります。
的確な予想ができた理由は、最低点の推移から予想したことはもちろん、東大文一から法学部へ進学する人が減っていたという内部情報から推測できたことに加えて、新司法試験とロースクール設立以来の法曹人口急増によって弁護士の権威が従前より落ちたことと、官僚を志望する合理的な理由がなくなった(官僚になる人は勉強だけできるバカ)という社会的背景、統計学ブームやMBA志向*1で経済学や経営学の人気が集まっていることなどによります。
社会のルールを作っているのは東大法学部ではなくアメリカ
昔から東大法学部といえば、権力の象徴でした。
日本のルールを作っているのは東大法学部卒で、その最たる例が政治家と官僚でした。
バブル期まではそれでよかったのですが、平成に入ってバブルが崩壊すると、日本型システムは崩壊します。
その後はMicrosoftのwindows95からITが一気に普及、Google、Amazon、Apple(iPhone)、Facebookなどが世界的を支配するほどまでに成長し、今やアメリカ企業が元気です。
日本は米国企業の成功要素を「イノベーション」と捉えて必死で勉強している最中ですが、その主体は企業であり、官僚ではありません。
そういうことがわかっている高校生が、法学部から経済学部にシフトするのは自然な流れといえるでしょう。
東大法学部はお買い得に
では、東大法学部には価値がなくなったのでしょうか。
私はむしろ「お買い得」になった今、周りに引きづられずに法学部を選んだほうがいいと考えます。
というのも、東大経済学部のほうが上になるかは、まだ数年は経過観察しないと判断できませんし、社会的な総意としてはまだまだ「東大法学部>経済学部」です。
また、法曹になることも、今は"お買い得"な進路です。
最近は良い具合に司法試験合格者数を絞り始めていますし、そもそも人気がなくなっているので、チャンスが大きいです。
キャリアのセオリーとしても、定年まで新卒入社した会社に居続ける(依存する)ことから、個人としてポータブルスキルを持ってプロフェッショナルを目指す個の時代ですから、
何の資格も得られない経済学部に行くより、法曹になりやすくなる法学部に行ったほうが、実は賢い選択ではないでしょうか。
だって、統計をやりたいなら理系に行ったほうがいいだろうし、MBAなんて今どき取る人は減っているし法学部からも行けるし、経済学部に行くべき理由が実はあるようでないのです。
結局は医者か弁護士
前述の「個の時代」で強いのは、実は免許です。
すなわち、医者か弁護士です。
なぜ強いかといえば、そもそもの社会的な権威があることからセルフブランディングしやすいことと社会人になってからなるには難しい資格だからです。
医者からコンサル、弁護士からMBAなどの進路は普通にありえますし、社会にイノベーションを起こしやすいのではというポテンシャルを感じます。
進路で大切なのは、「何になるか」ではなく「何をするか」でしょうが、何かをするときに医者や弁護士などの資格は大いに役に立つでしょう。
公認会計士や税理士もありますが、人工知能(AI)の影響をもろに受けて職を失うと言われている職業です。
また、セルフブランディングとしても、医者や弁護士と比較するとどうしても弱い資格です。
ということで、東大経済学部が一番難しいから経済学部へ行こうと発想するのではなくて、東大法学部も法曹も不人気らしいならラッキーだと思って弁護士になるくらいが一番賢い選択肢ではないでしょうか。
- 作者: 山口揚平
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- 発売日: 2019/02/28
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「東大よりエンジニアになれ」に騙されるな
東大無価値論の嘘
「東大に出ても意味はない。東大に行く勉強をする時間があればプログラミングとクリエーティビティーのほうが大事」と言っている人が最近いるみたいです。
でもこれは東大とプログラミングが両立しないという前提に立っている暴論であって、東大に行く勉強もプログラミングも、どっちもやればいいんだと思います。
私は実際に両方やってきましたし、起業家は受験勉強もプログラミングも両方やってきている人が多かったりと、両立することは無理なことではありません。
むしろ、受験勉強とプログラミングは、相乗効果があるのではないかとさえ思ってしまいます。
クリエーティビティーと受験勉強の関係についても、アートというのは教養が重要な要素になってきますから、教養につながる基本的な素養として受験勉強は無駄でなく必要なものだと思います。
東大卒の政治家も官僚も減ったから東大オワコンの嘘
「政治家も官僚も昔ほど東大卒はいないよね」とよく言われますが、政治家は世襲議院の巣窟だし、そもそも議員は割に合わないから永田町に行くのは合理的でないと東大卒が賢く判断しているからではないでしょうか。
官僚も同様に、「弱まった権力機関で安月給で丁稚奉公するのは時間の無駄なので他に行こう」と東大生が合理的に判断しているからではないでしょうか。
といっても、政治家も官僚の出身大学はいまだに東大1位なので、これでオワコンと言われても・・・という面もありますし、官僚は東大抑制策が取られているので、東大が減ったのは当然の結果といえます。
また、下記の記事のとおり、そもそも官僚になる東大法学部卒は増えていて、東大がこれから勢力を盛り返すことになるかもしれません。
東大卒の起業家は大量発生する
それじゃあ、東大卒の優秀層はどこに行ったのか?
答えは、外資系です。マッキンゼーやゴールドマン・サックスです。
ただ、彼らは最初から外資系の高級取りになりたくて行ったかといえば、そういう人も当然いますが、起業ありきで外資を選んだ人は少なくありません。
それでハーバードなどでMBAを取ってきて(まあ、最近はMBAの価値が低まって、外資の人でもMBA取る人は減っている感じがしますが)、また日本でも起業がしやすくなった状況を見て、外資出身者が次々に起業し始めています。
投資家視点で考えても、学歴重視ではないですが、東大卒なら地頭がよく努力家と認めることができますし、東大卒の肩書はあって損はありませんよね。
というわけで、今の起業ブームに乗って、東大卒の起業家がどんどん増えていくと私は感じています。
また、一昔前はリクルートが起業の登竜門でしたが、ようやく外銀・外コンが起業家を多く生み始めて、バラエティ豊かなベンチャービジネスが増えてきて、面白い流れに変わったなとも感じます。
というわけで、「受験勉強よりプログラミングが重要」という幻想に囚われず、「受験勉強もプログラミングも両方やったらいい」というのが、今の私のキャリア論・教育論の考えです。
- 作者: クリスチャン・マスビアウ,斎藤栄一郎
- 出版社/メーカー: プレジデント社
- 発売日: 2018/11/14
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