東大目線コラム

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ビジネスは中国から学びなさい

『アフターデジタル』は必読

アフターデジタル オフラインのない時代に生き残る

アフターデジタル オフラインのない時代に生き残る

最近読んだ本の中で一番重要な一冊です。
あんまり宣伝していないからか注目が弱いですが、これからのビジネスを考えるうえで読んでおいたほうがよいでしょう。

昨年は「GAFA」という言葉が日本で流行しました。
言うまでもなく、GoogleAmazonFacebookAppleの4社の頭文字です。

ただ、残念ながらアメリカだけが世界ではありません。
最近ようやく報道され始めていますが、中国のテック企業の台頭が著しいのです。

日本では身近ではないと思われがちの中国企業ですが、今や身近なところに中国企業は浸透しています。
TikTokはもちろん、Huaweiスマホや、Googleマップにこっそりdidi(中国版Uber)が追加されていますし、家電しかり、ゲームアプリしかり、ブランディングを強めています。

かつてサムスンがPRに力を入れすぎて嫌われてしまったことを研究しているかのように、着実にジワジワと広がっているあたり、商売上手な中国といえるでしょう。

中国は下だと思っている日本のオジサンたち

中国は長いこと人口の割に経済が低迷している国でした。
そのイメージが強すぎて、日本のオジサンたちはいまだに中国を下に見ている節があるように思います。

しかし、歴史的に見れば、中国は日本にとって学ぶべき国であったわけです。
中国の進んだ文化や制度を取り入れようとした遣隋使や遣唐使をはじめ、新元号「令和」の出典である万葉集の序文も、中国の文選から来ていると言われています。
つまり、中国から学ぶのは歴史的にみたら当たり前のことなのです。

中国は広い国土を持つため地政学上、歴史的にも内憂外患が長いのですが、政治が安定すれば中国自体が強くなるものです。
今の中国もまさにそうであり、科学技術への集中的投資が功を奏して、アメリカに匹敵するような国力を蓄えようとしています。

少し前までは「パクる」中国と、ディズニーキャラクターのパクリ遊園地が報道されて日本人がバカにしていましたが、今や日本で働く人は中国からパクらなければ競争に勝てないほどに立場が逆転しているのが現実です。
まあ、ほとんどの日本人が気づいていないようですが。

中国ビジネスのキーワード「OMO」とは?

『アフターデジタル』の話に戻れば、「OMO」という言葉がキーワードであることがわかります。
OMOとは「Online Merges with Offline」(オンラインとオフラインの融合)の頭文字です。

詳細は本書をお読みいただければと思うのですが、「デジタル」と「リアル」を分けて考えるのはナンセンスということです。
オンラインが当たり前の世の中なのだから、「デジタル」と「リアル」が一体化しており、顧客は「デジタル」か「リアル」の二分法で考えることはなくなり、そのときにあった最適の選択をするから、ビジネスサイドもそれに応じて事業を展開する必要があるということです。

最近の日本企業でも「デジタル戦略」などといって、ようやく重い腰を上げて、デジタル化を進めていますが、「リアル」ありきの「デジタル化」のきらいがあります。
顧客は「リアル」ありきだとは思っていないのだから、このような認識のままでは、米中のテック企業には到底かなわないということです。

情報は重要だけど情報源に気をつけよう

ネットのインフルエンサーたちがよく言っているとおり、「情報」は重要です。
ただ、ダメダメな日本企業の情報ばかり集めても、絶望することしかありません。
米国企業や中国企業という二大勢力に重きをおいて情報収集や分析をしたほうがよっぽど効率がいいでしょう。

投資でよく使われる用語として、「アービトラージ」という言葉あります。
差を利用して儲ける手段のひとつです。
すなわち、日本であまり理解されていない米中の事情にアンテナを張っておけば、日本では自分の価値を高められるということです。

したがって、英語や中国語を勉強して、米中の情報にアクセスできるリテラシーがあれば、しばらくは重宝されるというわけです。

アフターデジタル オフラインのない時代に生き残る

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