東大目線コラム

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新型コロナウイルス、厚労省は悪くない、厚労省がんばれ

新型コロナウイルスの対応が悪いのは厚労省のせいではない

新型コロナウイルスの対応の悪さについて、不安やいらだちを感じる人も多いでしょう。
怒りの矛先を誰にぶつけたらいいかを人々は求め始めています。
テレビを見れば、加藤厚生労働大臣の姿が一番よく目に入ります。

現場での対応をしているのも厚労省ですから、わかりやすい標的に厚生労働省がなっています。
現場ではミスも当然起こりうるので、そうなったら最後、厚労省を叩き始めます。

しかし、新型コロナウイルスの初動対応のミスは厚生労働省になく、官邸(内閣)にあります。
官僚が悪いのではなく、政治家が悪いのです。

ここを勘違いして、官僚が悪い、厚生労働省が悪い、というのは彼ら彼女らに気の毒です。
彼ら彼女らに能力がないことは認めざるを得ないでしょうが、感染拡大阻止において彼らは無力でした。
無力な厚生労働省職員にあたっても何もないのです。むしろ「政治家に負けずに頑張れ」と声をかけてあげたいくらいです。

強制労働省厚生労働省の非常勤の多さは問題ではない

Twitterでは早速、厚生労働省の批判が盛り上がり始めました。
厚生労働省は、非常勤職員が多い、労働(残業)時間が長いので、新型コロナウイルス対応なんてできたものではない、と。

確かに、余裕がないのは事実で、余裕がない中で新型コロナウイルス対応という非常に大きな案件が出てきたら対応しきれないでしょう。

しかし、非常勤が多いのと、今回の対応がいまいちなのは関係ありません。
むしろ、人手不足だというならまさに非常勤で働き手がほしいわけで、いま非常勤の方を増やすべき状況ではないでしょうか。
常勤か非常勤かの比率は、厚生労働省関連の組織体と医者という存在が招いた結果にすぎず、対して重要な指標ではありません。

また、労働時間が長いのは、ずっと言われ続けているとおり、国会対応のせいです。

日本の大問題の9割は厚生労働省といっても過言ではない状況なので、厚生労働省が過剰な国会対応でブラック化するのは当たり前です。
しかも、国会対応は、たちが悪いことに特に野党の態度が悪いせいで残業が発生しており、与党も家来である官僚たちがたくさん働いても何も害はありません。
だから、国会対応を改善する動きが生まれるはずがなく、厚生労働省強制労働省などと言われるわけです。

とはいえ、厚生労働省は地方の部局や保健所があります。
地方の人手を総動員すればいいので、霞が関の官僚はもう限界だといえど、地方にはまだ働き手がいるのです。
彼ら彼女らは情報が少ない中で必死で頑張ってくれているので、本当に声援を贈りたいです。

政府の対応は何がまずかったか

政府の対応の何がまずかったか。
何を言っても結果論だと済ませるのは思考停止です。
国内の感染拡大とダイヤモンド・プリンセス号の2つの問題があります。

まず、ダイヤモンド・プリンセス号は、さっさと船外に脱出させるべきでした。
船内に閉じ込めることが危険なことは、小学生でもわかるくらい明らかだったのに、「様子見」という優柔不断な対応をしたことの責任はあるでしょう。
外国人は大使館と連携して早期に国に返す(責任は大使館に委ねる)、日本人は解放して隔離する、隔離できないなら自宅待機を命じればよかったのです。

国内の感染拡大は、政府の対応では防げなかったでしょう。限界はありました。
ミスがあるとすれば、アメリカのように、中国からの渡航者を早期に完全にシャットダウンすべきでした。
ただ、日本と中国と韓国は、違う国でも、政府同士が仲が悪くても、市民レベルでは親戚がお互いの国がいるなど交流は密接で、ひとつの国のようなものです。
日本がアメリカのように厳格にシャットダウンを即断したからといって、今の感染拡大が防げるかは疑問が残ります。

政府の対応について、判断(決断)をするのは、厚生労働省ではなく官邸です。安倍総理です。
したがって、責任を追求するのであれば、テレビ画面に現れる加藤大臣ではなく、隠れている安倍総理なのです。

イベントを中止にしない理由

政府は一律にイベントの中止を呼びかけていません。
けしからん、というわけですが、これは仕方がないことです。

政府は行政自らが主催するイベントは中止にできますが、民間が主催しているイベントを中止にすることは政府にはできません。
(仮に政府が民間のイベントを中止にできるなら、反政府集会を政府が中止にできてしまうわけで、憲法に違反する恐れがあります)

したがって、主催者が中止を決断しなければいけないのです。

しかし、元AKB/HKTの指原莉乃さんが発言しているとおり、コロナを理由に中止にしても保険がおりないなら、中止せずに強行したくなるもの。
また、新型コロナの怖さは、weiboなどで中国のSNSを見れば明らかですが、たいていの日本人は映像としてリアルを見ていない、グロい映像はテレビに流れないので、深刻さがわかりません。
それで、「宝くじは自分だけ当たる」と同様に「コロナウイルスは自分だけは感染しない。感染しても大したことにない」ということで、みんなイベントに足を運んでしまうのです。

そうすると、感染拡大の責任は政府だけにあるわけではないのです。
われわれ民間人にも責任があります。
一人ひとりが外出しないという行動に移すしかないのです。

ワクチンが開発されたらすぐに使用できるよう準備せよ

ここまで国内で感染が拡大してしまうと、防ぎようがないので、ワクチンをつくるしか方法はありません。
ワクチンの開発が実現したら、すぐに日本で使用できる体制を整える。
これが今の厚生労働省に求められている重要な仕事です。


市民レベルでは、家でNetflixアマゾンプライムビデオを見るなり、読書でもしましょう。

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