東大生は入学式なんて興味ないよ
炎上した上野千鶴子さんの入学式祝辞
東大の入学式での上野千鶴子さんの祝辞がメディアを沸かせています。
ちなみに東大の入学式は伝統的に4月12日に日本武道館で開催されます。
今はまじめな学生が多いので現状はわかりませんが、私が入学したときはみんな寝ていた記憶があります。
1人1人に何かが授与されるわけではなく、総長が有り難い講談を展開しているのを観客席から見ているだけですから、どこぞの校長先生と同じ感覚です。
しかし、世間的には東大の入学式に関心があるようで、ご覧の有様です。
おそらく今も優秀な東大生は入学式のニュースになんてほとんど興味はないでしょう。
祝辞のココがおかしい!
1.入学式を壊した
東大生は入学式なんてどうでもいいと思っていますし、出席しない人もふつうにいるから、そもそも価値がないものについて語っても無価値なのですが、今回の祝辞は入学式にふさわしくない内容でした。
メディアが入る入学式にあって、その機会を新入生のためではなくて、自分や大学のために使ったというのはいかがなものでしょうか。
祝辞の中では「メタ」という言葉を使っていますが、まさに祝辞を述べられた方自身が、祝辞の場というメタ情報を無視したという自己矛盾を孕んでいます。
まあ、上野さんは元々こういう方なのですが、それをわかっておいて、祝辞をさせた大学自体もおかしいわけで、東大の品格は落ちたものです。
実際、東大の世界大学ランキングは留学生を増やしたり推薦入試をしたりしているのに下降の一途です。
2.論理破綻でまた女性がdisられる
私は女性差別には反対で、オジサンたちが女性を道具のように考えている節を見たら、その男性を軽蔑しています。
そのうえで述べますが、問題の祝辞は論理がいろいろとおかしいです。これでよく論文を書く職業をしているものです。
最近売れている本に『ファクトフルネス』という本がありますが、イメージでなくファクトで考えろという素晴らしい本です。
それを読んだあとに祝辞を読むと次のようなおかしさが無限に出てきます。
・理三を出すのは極端
・理三の1.03は誤差じゃないか?
・文科省の人のコメントという根拠の薄弱さ
・女性が男性より偏差値が高いという根拠示さず
・女性が男性より浪人を避ける根拠示さず
(以下面倒なので略)
「男性は論理的、女性は感情的」というイメージがついていて、そういったイメージが女性差別を助長させている考えがあると思いますが、今回の論文はまさにその悪いイメージをファクトによって補強してしまったきらいがあり、逆効果といえるのではないでしょうか。
3.平成生まれは男性が差別されている
ターゲットは誰かというのは、ビジネスのマーケティングを考えずともコミュニケーションの基本です。
今回の祝辞は誰に向けられたのでしょうか?
上記の1つめの指摘にも似ていますが、学生向けとは考えづらい内容です。
もし仮に学生向けだというのであれば、これまたおかしな話です。
私が思うに、若い世代は女性差別はしていないと思います。仮にしている人がいたとしても、それはそういう教育をした学校の教員か親が原因ではないでしょうか。
というか、むしろ男子こそ差別をされているように感じるときがあります。
「男女平等」という名のもとで、女性を優遇する逆差別(たしか公民の授業で習うと思いますが「アファーマティブ・アクション」ともいいます)が進められています。
しかし、逆差別が行われいるのは若い世代だけではないでしょうか。
もちろん社会全体を変える必要がありますが、わかりやすい例でいえば、大企業の社長や役員、あるいは政治家などの権力を持つ人の女性比率は変わっているのでしょうか。
私には次のように見えて仕方がありません。
・昭和生まれは「男尊女卑」のまま
・平成生まれは「女尊男卑」
・平均したら「男女平等」
私は学者ではないので、これはあくまでも仮説にすぎませんが、男女格差に関するファクトに基づく研究を行って、効果のある打ち手を学者の方には期待したいものです。
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〈参考〉祝辞全文
www.u-tokyo.ac.jp