期待値計算で賢ぶるバカ
ちょっと数学ができるからって何でも期待値計算で合理的な判断をしようとする人がいます。
そういう人に出会っても「頭がいい」と思うのは間違いです。
なぜならば、期待値とは確率的な平均値であって、1回きりの判断に期待値を持ち込むのは合理的ではないからです。
期待値を知らない人のために説明すると、期待値とは確率と確率ごと値の積(掛け算の計算結果)の総和です。
例えば、6つ目がある普通のサイコロの期待値は、各目の出る確率は1/6なので、
1*1/6+2*1/6+3*1/6+4*1/6+5*1/6+6*1/6=3.5
つまり、サイコロを振って出る目の平均値は3.5です。
これは100回、1000回、10,000回・・・とサイコロを振り続けたときに、これまでのサイコロの目の平均値が3.5に近づいていくことを意味します。
だから、1回きりのサイコロの目を占うときに、期待値3.5は何の意味もないのです。
それなのに、期待値で判断することは賢いという人が散見されて呆れるばかりです。
期待値で考える人がアホだと思う例
A:確実に100万円もらえる
B:1%の確率で10億円もらえる
この場合、期待値を計算すれば、
A=100万円
B=10億円x0.01=1000万円
ですが、Aを選ぶ人が多いのではないでしょうか。
これで期待値的には絶対にBという人がいても、その人が頭がいいとか、賢いと思うことはないはずです。それが正常です。
100人でBを試して10億円を山分けするというアホ
脱線ですが、上記の例で、100人でBを試したら確実に10億円もらえるので山分けして1000万円もらうのが正解という、あまのじゃくな人もいるでしょう。
ですが、残念ながら100人では確実ではありません。
100人で試して10億円もらえる確率は、
1-(99/100)^100=63.3%
であって、4割弱の確率で1円ももらえないのです。残念。
頭が良さそうな人に騙されてはいけない
頭が良さそうな人の発言だから間違いない、と考えてはいけません。
期待値計算の例は、東大生・東大卒などもよくいう考え方です。
あの林修先生もたまに初耳学でこういった考え方を語ってしまうほどです。
東大生・東大卒であっても、期待値計算が1回きりの判断には無意味であることを理解していないのです。
しっかり「本当かな?」と自分の頭でじっくり考えることが大切です。
そうすれば、東大なんて大したことないんだなぁ、学歴なんて意味がないんだなぁ、と自然と思えてくるはず。
そうやって権威的な世の中から、しっかり本質を理解する人がつくる世の中にシフトしてほしいものです。
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