東大目線コラム

東大卒がビジネスやマネー情報を東大目線で徹底解説!

池袋事故原因は高齢運転か欠陥車か

池袋事故の見方

池袋で87歳が運転するプリウスが暴走し、轢かれた母娘2人が亡くなるなどの事故が発生しました。

ネットの反応を見ると、高齢運転が原因と考える人が多く、多くのフォワーを持つインフルエンサーも高齢運転と決めつけている有様です。

また、元経産省の官僚で天下り歴があったり、逮捕されていないことから、世間的な風当たりは最悪です。

ゴーン事件のときの推定無罪論はどこへ?

報道によると、アクセルの様子がおかしかったとの証言があり、根拠としてドライブレコーダーの記録があるようです。

警察が逮捕しなかったのは、高齢で怪我をしていることから逃亡の恐れがないからと説明しているようですが、世間からは元官僚で叙勲された上級国民だから逮捕されないのだと野次られています。

しかし、警察は慎重にドライブレコーダーの記録を判断して逮捕に踏み切ってないのではないでしょうか。

というのも、日産のゴーン事件では、長い拘留に対して人権問題が提起され、国際的にも推定無罪という刑法の原則の精神はどこへ?と言われました。

今回そのことが頭にあれば、いくらなんでも怪我した老人の身柄を拘束するなんて非人道的だという世論が生まれ、自動車の欠陥の可能性もあるんじゃないのかと言われかねないので、あえて逮捕しなかったとも考えられるようにも思います。

またプリウスか!

また、プリウスは事故が起こりやすいとネットではよく言われていたことです。

そういえば、今年は壁が薄いといわれたレオパレスが案の定欠陥建築をしていたことが明らかになりました。

さらに、『空飛ぶタイヤ』という小説よろしく、一見素行不良の若者が運転するトラックのタイヤが飛んで死亡事故を起こしたときに、悪いのは整備をおこたった若者だと決めつけてしまっていたら、実はトラックの不良が原因だったということもありました。

結局、現段階では今回の池袋事故の原因は謎のままなんです。

ここで大切なのは、自動車を第三者によって徹底的調べあげることです。

運転手は高齢で、もしかしたら自ら罪を背負う覚悟を示すかもしれませんが、万が一自動車の不備の場合は同じような事故が発生するリスクは残ったままです。

当事者間の問題にするのではなく、社会問題として、たとえ日本を代表する大企業様が相手でも、原因を調べてほしいものです。

免許返納は論点ではない

したがって、自動運転とか、高齢者の運転免許の問題とかは、まだ問題ではないのです。

車が問題か、運転手が問題かという点です。

多くの方が運転手が悪と決めつけており、状況がわからない中で、そういう反応をするのは極めて残念に思い、以上書きました。

高齢者はタクシーに乗れとかいうのも暴論です。高齢車がタクシー呼ぶのって面倒ですよ。

空飛ぶタイヤ(上) (講談社文庫)

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携帯料金は安くなるわけない

ツッコミどころ満載のドコモ新料金プラン

ドコモが新料金プランを発表しました。

総務省が高くなりすぎている携帯料金を是正するように求めた対応です。

最大4割値下げだそうです。

しかし、よく見たら「ウルトラデータパックLL」という30GBプランを参照元にしており、こんな大容量プランに誰が加入しているというのでしょうか。

また、相変わらず家族で加入しないと割引にならないし、しかも3人以上という条件付きです。

単身世帯やDINKSと呼ばれる2人世帯が増えているトレンドにおいて、ミスマッチです。

このようにドコモは最初から値下げはするつもりはなく、値下げで損しない条件を必死で考え抜いて、最低限姿勢だけ示すという、ユーザー無視の戦略を鼻高々と発表したわけです。

まあ、これはドコモだけが悪いわけではなく、業界すべてそういう姿勢ですから、仕方がないとしか言えません。

スマホ弱者にかかる人件費の問題

では、どうしたら携帯料金を安くできるのでしょうか。

私が問題だと思うのは、ケータイ販売店ドコモショップなど)に集まる、スマホの使い方がわからない人の対応にかかる人件費を、スマホの使い方がわかる世代からも徴収していることです。

携帯キャリアからしてみたら、高齢者が一番お金を持っており、人口ボリュームもあり、ぼったくりやすいから大切にしたい高齢者ですが、その人件費のツケを若者にも負担させているのは不平等ではないでしょうか。

したがって、携帯サポートを受けることを有料化してほしいものです。

楽天参入でも安くなるわけない

これまで日本の携帯通信キャリアはドコモ、auソフトバンクの3社でした。

しかし、ここに来て楽天も参入しました。

経済学で「寡占」という概念、すなわち少数の大企業が市場を支配してしまい、利用者の利用料負担増加や品質の低下を招くわけですが、その典型例が携帯通信業界です。

それで、楽天が参入すれば、寡占市場が緩和されるわけで、「楽天のおかげで寡占が解決されて料金が下がる!」と期待する人もいるはずです。

しかし、私は安くなるわけないと断言します。

だって、3社が4社になっただけです。

楽天も救世主として市場に参入したわけではなく、寡占で儲かるから参入するだけです。

儲かるから参入するということは、利用者からはぼったくる気満々だということです。

というわけで、楽天参入の影響で携帯料金が下がることを期待してはいけないのです。

5Gスタートでまた高くなる

通信量が大きくなる5Gが始まろうとしていますが、これでまた携帯料金は高くなるでしょう。

事実、4Gとスマホの登場によって増大したパケット通信で携帯各社はボロ儲けです。

5Gは施設設備費がかさむとすでに説明されていますので、料金が上がることは火を見るより明らかです。

5Gは企業だけでなく個人にも大きなビジネスチャンスをもたらすポテンシャルがあります。

それだけに、コストのつけをユーザにおしつけ、それを活かすチャンスを阻害するのは、社会的な損失ではないでしょうか。

通信量を抑えて安く済ませられるように、政府の補助金を出すなどもして、日本でもwifi整備を進めてほしいものです。

ヤバい経済学 [増補改訂版]

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東大生は入学式なんて興味ないよ

炎上した上野千鶴子さんの入学式祝辞

東大の入学式での上野千鶴子さんの祝辞がメディアを沸かせています。

ちなみに東大の入学式は伝統的に4月12日に日本武道館で開催されます。

今はまじめな学生が多いので現状はわかりませんが、私が入学したときはみんな寝ていた記憶があります。

1人1人に何かが授与されるわけではなく、総長が有り難い講談を展開しているのを観客席から見ているだけですから、どこぞの校長先生と同じ感覚です。

しかし、世間的には東大の入学式に関心があるようで、ご覧の有様です。

おそらく今も優秀な東大生は入学式のニュースになんてほとんど興味はないでしょう。

祝辞のココがおかしい!

1.入学式を壊した

東大生は入学式なんてどうでもいいと思っていますし、出席しない人もふつうにいるから、そもそも価値がないものについて語っても無価値なのですが、今回の祝辞は入学式にふさわしくない内容でした。

メディアが入る入学式にあって、その機会を新入生のためではなくて、自分や大学のために使ったというのはいかがなものでしょうか。

祝辞の中では「メタ」という言葉を使っていますが、まさに祝辞を述べられた方自身が、祝辞の場というメタ情報を無視したという自己矛盾を孕んでいます。

まあ、上野さんは元々こういう方なのですが、それをわかっておいて、祝辞をさせた大学自体もおかしいわけで、東大の品格は落ちたものです。

実際、東大の世界大学ランキングは留学生を増やしたり推薦入試をしたりしているのに下降の一途です。

2.論理破綻でまた女性がdisられる

私は女性差別には反対で、オジサンたちが女性を道具のように考えている節を見たら、その男性を軽蔑しています。

そのうえで述べますが、問題の祝辞は論理がいろいろとおかしいです。これでよく論文を書く職業をしているものです。

最近売れている本に『ファクトフルネス』という本がありますが、イメージでなくファクトで考えろという素晴らしい本です。

それを読んだあとに祝辞を読むと次のようなおかしさが無限に出てきます。

・理三を出すのは極端
・理三の1.03は誤差じゃないか?
文科省の人のコメントという根拠の薄弱さ
・女性が男性より偏差値が高いという根拠示さず
・女性が男性より浪人を避ける根拠示さず
(以下面倒なので略)

「男性は論理的、女性は感情的」というイメージがついていて、そういったイメージが女性差別を助長させている考えがあると思いますが、今回の論文はまさにその悪いイメージをファクトによって補強してしまったきらいがあり、逆効果といえるのではないでしょうか。

3.平成生まれは男性が差別されている

ターゲットは誰かというのは、ビジネスのマーケティングを考えずともコミュニケーションの基本です。

今回の祝辞は誰に向けられたのでしょうか?

上記の1つめの指摘にも似ていますが、学生向けとは考えづらい内容です。

もし仮に学生向けだというのであれば、これまたおかしな話です。

私が思うに、若い世代は女性差別はしていないと思います。仮にしている人がいたとしても、それはそういう教育をした学校の教員か親が原因ではないでしょうか。

というか、むしろ男子こそ差別をされているように感じるときがあります。

「男女平等」という名のもとで、女性を優遇する逆差別(たしか公民の授業で習うと思いますが「アファーマティブ・アクション」ともいいます)が進められています。

しかし、逆差別が行われいるのは若い世代だけではないでしょうか。

もちろん社会全体を変える必要がありますが、わかりやすい例でいえば、大企業の社長や役員、あるいは政治家などの権力を持つ人の女性比率は変わっているのでしょうか。

私には次のように見えて仕方がありません。

・昭和生まれは「男尊女卑」のまま
・平成生まれは「女尊男卑」
・平均したら「男女平等」

私は学者ではないので、これはあくまでも仮説にすぎませんが、男女格差に関するファクトに基づく研究を行って、効果のある打ち手を学者の方には期待したいものです。

FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣

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〈参考〉祝辞全文
www.u-tokyo.ac.jp

ビジネスは中国から学びなさい

『アフターデジタル』は必読

アフターデジタル オフラインのない時代に生き残る

アフターデジタル オフラインのない時代に生き残る

最近読んだ本の中で一番重要な一冊です。
あんまり宣伝していないからか注目が弱いですが、これからのビジネスを考えるうえで読んでおいたほうがよいでしょう。

昨年は「GAFA」という言葉が日本で流行しました。
言うまでもなく、GoogleAmazonFacebookAppleの4社の頭文字です。

ただ、残念ながらアメリカだけが世界ではありません。
最近ようやく報道され始めていますが、中国のテック企業の台頭が著しいのです。

日本では身近ではないと思われがちの中国企業ですが、今や身近なところに中国企業は浸透しています。
TikTokはもちろん、Huaweiスマホや、Googleマップにこっそりdidi(中国版Uber)が追加されていますし、家電しかり、ゲームアプリしかり、ブランディングを強めています。

かつてサムスンがPRに力を入れすぎて嫌われてしまったことを研究しているかのように、着実にジワジワと広がっているあたり、商売上手な中国といえるでしょう。

中国は下だと思っている日本のオジサンたち

中国は長いこと人口の割に経済が低迷している国でした。
そのイメージが強すぎて、日本のオジサンたちはいまだに中国を下に見ている節があるように思います。

しかし、歴史的に見れば、中国は日本にとって学ぶべき国であったわけです。
中国の進んだ文化や制度を取り入れようとした遣隋使や遣唐使をはじめ、新元号「令和」の出典である万葉集の序文も、中国の文選から来ていると言われています。
つまり、中国から学ぶのは歴史的にみたら当たり前のことなのです。

中国は広い国土を持つため地政学上、歴史的にも内憂外患が長いのですが、政治が安定すれば中国自体が強くなるものです。
今の中国もまさにそうであり、科学技術への集中的投資が功を奏して、アメリカに匹敵するような国力を蓄えようとしています。

少し前までは「パクる」中国と、ディズニーキャラクターのパクリ遊園地が報道されて日本人がバカにしていましたが、今や日本で働く人は中国からパクらなければ競争に勝てないほどに立場が逆転しているのが現実です。
まあ、ほとんどの日本人が気づいていないようですが。

中国ビジネスのキーワード「OMO」とは?

『アフターデジタル』の話に戻れば、「OMO」という言葉がキーワードであることがわかります。
OMOとは「Online Merges with Offline」(オンラインとオフラインの融合)の頭文字です。

詳細は本書をお読みいただければと思うのですが、「デジタル」と「リアル」を分けて考えるのはナンセンスということです。
オンラインが当たり前の世の中なのだから、「デジタル」と「リアル」が一体化しており、顧客は「デジタル」か「リアル」の二分法で考えることはなくなり、そのときにあった最適の選択をするから、ビジネスサイドもそれに応じて事業を展開する必要があるということです。

最近の日本企業でも「デジタル戦略」などといって、ようやく重い腰を上げて、デジタル化を進めていますが、「リアル」ありきの「デジタル化」のきらいがあります。
顧客は「リアル」ありきだとは思っていないのだから、このような認識のままでは、米中のテック企業には到底かなわないということです。

情報は重要だけど情報源に気をつけよう

ネットのインフルエンサーたちがよく言っているとおり、「情報」は重要です。
ただ、ダメダメな日本企業の情報ばかり集めても、絶望することしかありません。
米国企業や中国企業という二大勢力に重きをおいて情報収集や分析をしたほうがよっぽど効率がいいでしょう。

投資でよく使われる用語として、「アービトラージ」という言葉あります。
差を利用して儲ける手段のひとつです。
すなわち、日本であまり理解されていない米中の事情にアンテナを張っておけば、日本では自分の価値を高められるということです。

したがって、英語や中国語を勉強して、米中の情報にアクセスできるリテラシーがあれば、しばらくは重宝されるというわけです。

アフターデジタル オフラインのない時代に生き残る

アフターデジタル オフラインのない時代に生き残る

万葉集より英語を勉強しよう

入社式に見る日本の絶望未来

昨日4月1日から新入社員と思われる若者が通勤する姿を目にするようになりました。

男性は青いストライプのネクタイ、女性は就活生御用達のコートを着ているので一目瞭然です。

まあまあ、同じような格好で群れていたり、群れていなくても初日から目が死んでいたりと、日本の将来は暗いですね。

周りがみんな就職しているから、みんなが応募している企業に申し込みをして、受かった企業に行っただけといったところでしょうか。

右肩下がり時代に、オールドな企業が高度経済成長期に蓄えた養分でこれからも生きていこうと思っていたら、いつか会社が潰れて路頭に迷い、年収200万円未満の生活が待っているでしょう。

10年後、20年後には潰れてしまいそうな古い企業には怖くて就職できませんね。

では、どんな企業が良い企業でしょうか?

これから生き残る企業の条件のひとつは、グローバルに稼げるか。

それはつまり、貧乏にならないためには、企業で働く個人こそがグローバルで働けないといけないのです。

万葉集を読むのは時間のムダ

元号「令和」の出典である『万葉集』の本が売れているそうですね。

定年退職された方々が『万葉集』でも読んでみるかというならいいですが、ビジネスパーソンが『万葉集』を読んでも何の得にもなりません。

英語すらできないのに、のどかに和歌を楽しむのでしょうか。

現実逃避ですか?

そんな時間があるなら、英語をやったほうが100倍メリットがあります。

メリットというか、英語やらないと20年後にはビンボー待ったなしですよ。

英語の前に日本語という人がいますが、英語で万葉集の紹介を外国人にできたほうがよっぽど役に立ちます。

長い目でみたら助けになる?

優先順位としては英語ですよ。

「令和」を英語で語れるか

まず、教養もない素人が『万葉集』を読んでもすぐに役に立ちません。

かりに『万葉集』を読んだとして、それを外国人に紹介できますか?

英字ニュースでどのように「令和」が取り扱われているのかを理解して、それを自分の会話でも使えるようにしたほうが、これからの時代よっぽど役に立ちます。

そのうえで、余裕があったときにでも、『万葉集』をパラパラ読んで、「私はこの歌が好きなんです。この歌の意味は○○ということ。ナイスでしょ」といえれば、なお良いです。

結局、『万葉集』を読むという行為の優先順位は最後なんです。

日本の古典が生きるのは、外国人との会話のとき。

英語ができないと、『万葉集』を読んでも、コミュニケーションに役には立たないのです。

「そもそも自分がよければよいのでは?」とか言っている人がいたら、将来は生活保護の申請をして他人の税金で生きるのだけはやめてもらいたいですね。

確実に、稼ぐ日本人は海外にますます逃げていきますよ。

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